その「私は〇〇だから」は本当?
「私は人見知りだから」
「どうせ自分にはできない」
「私は要領が悪いんです」
こうした“自分に貼ったラベル”を、あなたも一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。
それは一見、自己理解のようでいて──
実は“勘違いのレッテル”かもしれません。
この記事では、心理学の観点から「レッテル貼り」のメカニズムをひも解き、
そこから抜け出す方法を解説します。
🧠 Part 1:なぜ人は自分にレッテルを貼るのか
① 認知バイアス:脳の“省エネ機能”
人間の脳は、常に情報処理の負担を減らそうとします。
そのため、少ない経験やデータで「私はこういう人」と
単純化・カテゴリー化してしまう傾向があります。
この“思い込みのショートカット”こそが、
「勘違いのレッテル」を生み出す原因のひとつです。
② 防衛反応:自分を守るための「言い訳」
失敗や不安、恐怖から自分を守るために、
「私は人前が苦手」「どうせ失敗する」と先に決めつけておく。
そうすることで、行動を制限し、
“傷つかない安全圏”に自分を留めようとする心理が働きます。
③ 認知の歪み:「ラベリング」という思考の罠
心理学では、極端な思考パターンを**「認知の歪み」**と呼びます。
その中の一つが「ラベリング」。
たとえば、仕事で一度ミスをしただけで、
「私はダメな人間だ」と全体を否定してしまう思考です。
④ 行為者‐観察者バイアス:他人と自分の扱いの違い
他人が失敗すると「だらしない」と思うのに、
自分が失敗したときは「運が悪かった」と環境のせいにする。
しかし、ネガティブな評価に関しては逆転し、
自分にだけ厳しくレッテルを貼ってしまう──。
これも、心理的な“思い込みの歪み”の一種です。
💔 Part 2:勘違いレッテルがもたらす影響
① セルフ・ハンディキャッピング
「私は要領が悪いから」と自分にレッテルを貼ることで、
本気で努力しない“理由”を作ってしまう。
失敗しても「やっぱりね」と納得できるように、
あらかじめ“逃げ道”を用意してしまうのです。
② 行動の制限と可能性の閉鎖
「自分は〇〇だ」という思い込みがあると、
そのレッテルに反する行動──
たとえば「人見知りを克服する交流会」などを無意識に避けます。
結果として、成長のチャンスを自ら閉ざしてしまうのです。
🌈 Part 3:レッテルを剥がす4つのステップ
ステップ① 「事実」と「解釈」を分ける
例:「私は人見知りだ」
→【事実】新しい場で緊張して言葉が詰まった
→【解釈】だから私は人見知りだ
“事実”はそのまま受け止めてOK。
でも“解釈”は、ただの一つの見方にすぎません。
ステップ② 「3コラム法」で客観視する
紙に3つの欄を作りましょう。
【出来事】/【感情】/【考え(レッテル)】
「私はダメだ」という考えは、
本当に出来事から導かれる唯一の結論か──問い直してみてください。
ステップ③ 「今は」をつける
ネガティブなレッテルを貼りそうになったら、
「今は苦手」「今はまだできない」と言い換えてみる。
未来の自分に“成長の余地”を残す魔法の言葉です。
ステップ④ 「状況」にも目を向ける
自分を評価するとき、性格や能力だけでなく、
「そのときの環境」も見てください。
うまくいかなかったのは、
あなたが悪いのではなく、
“状況が悪条件だった”だけかもしれません。
💬 まとめ:「レッテル」は自分を守るための“仮の姿”
「私ってこういう人間だから」と思い込むのは、
本当は自分を責めたくないという優しい防衛反応です。
でも、その優しさが、
あなたの可能性を静かに閉ざしてしまうこともあります。
まずは、「私はそう決めつけているかもしれない」と気づくこと。
その瞬間から、あなたはもう“レッテルの外”に立っています。
自分に貼ったレッテルは、自分で剥がせる。
一歩ずつ、“本当のあなた”を取り戻していきましょう。
